桶川、逗子、そして川崎20歳女性死体遺棄事件 3件のストーカー事案を振り返る 警察とは学ばない犬なのか 被害者遺族の働きかけも虚しく②
- 2025.5.7
- 国際ニュース
〈逗子ストーカー殺人事件(2012年11月6日、神奈川県逗子市)〉
被害者:三好梨絵さん(当時33歳)フリーランスのデザイナー
加害者:元交際相手の小堤英統容疑者(当時40歳)元高校教師
〈事件の経緯〉
小堤英統は元交際相手だった三好梨絵さんと別れたあと、執着をさらに強め、インターネットや探偵事務所などを利用して、三好梨絵さんの情報を調べ上げるといった行動に出る。
三好さんが結婚後、小堤容疑者のストーカー行為を受けていた(メールなど)2011年小堤容疑者が脅迫罪で逮捕される。
この際、逗子警察署は逮捕状を読み上げる過程で、梨絵さんの結婚後の姓(三好)と住所の一部を小堤に伝えてしまう。
警察は逮捕状に記載された被害者の結婚後の個人情報を加害者の前で読み上げる。この杜撰な対応により、加害者が被害者の新住所を把握するきっかけとなった。
結果、三好さんは家宅侵入してきた小堤容疑者に刃物で刺殺される。小堤容疑者はその後、同じアパート内の出窓の手摺で首吊り自殺。
〈警察への相談・電話回数〉
30件以上
〈警察の対応と問題点〉
被害者は警察に再三にわたりストーカー被害を相談していたが、警察は十分な保護措置を講じなかった。
加害者は執行猶予期間中に、保護観察処分で禁止されていた被害者へのメール送信(1000件以上)を続けたが、警察はこれを適切に把握・対応できなかった。
〈ストーカーの前で被害者の住所を繰り返し読む〉
警察は脅迫罪の逮捕状に記載された被害者の結婚後の氏名や住所の一部を加害者の前で繰り返し2度にわたり読み上げるなどした大失態が報告されている。
〈捜査の遅れ〉
当時のストーカー規制法では、メールによるストーカー行為が規制対象外とみなされる「盲点」があったため、警察はこれを理由に立件を見送った。
〈警察の不祥事と隠蔽〉
被害者がストーカー被害を訴え、個人情報の閲覧制限を行政に申請していたにもかかわらず、警察は加害者の行動を効果的に監視・制限できず、殺人事件を防げなかった。
事件後、警察の対応の遅さや不備が、被害者保護の観点から問題視された。
〈市役所で容易に犯人が被害者の個人情報を閲覧〉
事件の前日、2012年11月5日午前11時頃、逗子市役所の情報システムで三好さんの納税情報が閲覧された記録が残っていた。この閲覧は、小堤が探偵事務所を通じて三好さんの住所を確認する過程で、探偵が市役所に問い合わせを行った結果とされている。
しかし三好さんは、市に住民基本台帳の閲覧制限を申請していた。
具体的には、小堤が探偵に三好さんの住所調査を依頼し、探偵が三好さんの夫になりすまし「お世話になった人にお礼の手紙を送りたい」などの虚偽の理由で市役所に問い合わせ、総務部納税課に勤務していた担当者は三好さんの住所情報を探偵に教えたという。
〈処分と影響〉
この事件を契機に、ストーカー規制法が改正され、メールやSNSを通じたストーカー行為も規制対象に含まれるようになった。また、警察の被害者保護体制の強化が求められた。
この事件は、逗子警察だけでなく行政(逗子市役所の情報漏洩)にも責任の一端があるとして、個人情報保護の重要性が再認識された。被害者の夫は逗子市を提訴し、2018年に市に110万円の賠償命令が下された。
〈遺族の声とその後〉
残された三好さんの夫は妻の分まで「楽しく生きていかなければ」と語った。2015年の取材では、「周りの人の支えでここまでやってこられた。妻が天国で見ているなら、楽しくやっているんだな、と思ってくれているはず」と、妻の願いを胸に前を向こうと歩み始めた。
三好さんの兄、芝多浩さんは、妹の事件を契機にストーカー被害防止の活動に取り組んだ。2018年、毎日新聞によると、専門家らとストーカー対策の専門書を出版。「犠牲をもう出さぬ」と、再発防止に向けた啓発活動を行っている。
【桶川、逗子、そして川崎20歳女性死体遺棄事件 3件のストーカー事案を振り返る 警察とは学ばない犬なのか 被害者遺族の働きかけも虚しく③】〈川崎20歳女性死体遺棄事件(2025年4月30日遺体発見、神奈川県川崎市)〉に続く
〈さくらフィナンシャルニュースからの注意とお願い〉
情報は提供された資料に基づいていますが、ストーカー事件はデリケートな問題であり、個々のケースで背景や対応が様々に異なる場合があります。
警察への相談時には、具体的な証拠(メール、録音、写真など)を提示し、継続的に記録を残すことが推奨されます。
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「子供2人・家を建てる」妻の10年後の夢、ストーカーが奪った…思い出の街で暮らす夫
https://www.yomiuri.co.jp/national/20221104-OYT1T50249/
どうすれば妹を救えたか 逗子ストーカー被害兄が出版
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50483140S9A001C1000000/
「逗子ストーカー殺人」被害者の兄が語る課題
「情報漏えい」問題はその後どうなったのか
https://toyokeizai.net/articles/-/205959?display=b