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~雨宮健氏の経歴~
1935年3月29日東京生まれ
1959年国際基督教大学(ICU)社会学科卒業
1964年ジョンズ・ホプキンス大学経済学博士号取得、スタンフォード大学経済科学部助教授に就任
1966年一橋大学経済研究所専任講師就任
1968年スタンフォード大学経済学部准教就任
1974年同学部教授就任
2024年現在引き続き研究を行っている
- 2024.11.28
- ノーベル経済学賞
【雨宮健氏の功績】
2000年秋、日本中が白川秀樹筑波大学教授のノーベル化学賞受賞で盛り上がる一方、ノーベル経済学賞に最も近づいた日本人が惜しくも受賞を逃していたことは、あまり知られていません。
その人物は、計量経済学の分野で長年活躍していた雨宮健氏です。 雨宮健氏は、1964年にサンフランシスコのスタンフォード大学に赴任して以来、30年以上にわたり研究を続け、経済学界の重鎮として知られていました。【ミクロ計量経済学の進化】
2000年のノーベル経済学賞受賞者は、カリフォルニア大学バークレー校のダニエル・マクファデン教授とシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授の2人です。
受賞理由は 「ミクロ計量経済学の分野で、個人や家計の動きを計量分析する理論と手法を開発、発展させた」とされています。
計量経済学は統計学、経済理論、数学の三つを統合したもので、経済現象を定量的に分析することを目的としています。主な経済量の相互の関係を計測し、経済現象の仕組みを数量によって明らかにしながら、経済の現状分析だけでなく、将来予測にも役立てようとするものです。
計量経済学は、大きくマクロとミクロの二つの分析手法に分けられます。
マクロ計量経済学は、経済予測やマクロ経済全般を対象とし、1980年にローレンス・クライン氏がノーベル経済学賞を受賞するなど、多くの研究者が注目されてきました。
一方、ミクロ計量経済学は統計調査や社会調査の結果など、細かなデータを基に分析する手法です。
1970年代以降、個人や家計、企業の行動が多様化する中、GDP統計などのデータに基づく従来のマクロ的手法では経済の実体を正確に把握するのが難しくなりました。
そうした状況を背景に、マクファデン、ヘックマン両教授が開発したのは、家計簿や消費統計などの細かいデータを数学的に分析し、経済全体の動きをとらえる実証的手法です。
ミクロデータの分析手法の進展により、これまで困難とされていた消費者行動や労働市場などの細かなデータの活用が可能になりました。
両教授が開発した質的変量分析は、マーケティング分野で消費者のブランド選択を評価する標準的な手法として定着しています。また、パソコンやソフトの発展と相まって、社会学、政治学、教育、犯罪心理学といった幅広い分野においても、実証分析の一手法として活用されるようになりました。
これらの実証研究の理論的基盤を支えたのが、雨宮健氏の業績なのです。