【『つばさの党』長期勾留に外山まき+趙・宮村弁護士団、違法性を指摘「人質司法は違憲!」国賠訴訟 記者会見】
- 2024.11.7
- 裁判
2024年11月6日、『つばさの党』の黒川敦彦党首(46歳)と根本良輔幹事長(30歳)が、公職選挙法違反で逮捕・起訴されたことに対しての長期勾留は違憲だとして国家賠償請求を起こした。
『つばさの党』代表代理、黒川氏の妻である外山まき埼玉県朝霞市議会議員(53歳)が東京地裁記者クラブで代理人弁護士団と記者会見を行った。
請求金額は1人1100万円。家庭に復帰し、家族との生活や、政治活動を取り戻すに値する金額とした。
〈黒川氏根本氏の同席叶わぬ〉
「本当は黒川さん根本さんがこの場において会見をすることを望んでいた。裁判所にこの2人が記者会見に参加できないかと『会見だけでも、一時間だけでもいいから参加させてくれ』と頼んだ。裁判所の地下に護送してそのまま(EVで)上げて会見をして帰ればいいんだから何の問題もないでしょうと言ったんですがそれも(叶わず)。」
井桁大介弁護士が2人の会見同席が叶わなかったことに対して悔しさを滲ませながら背後状況を説明した。
続いて黒川氏を弁護する趙誠峰弁護士が説明する。
「衆議院東京15区補欠選挙の黒川さん、根本さん、杉田(勇人)さん(39歳/つばさの党本部長/創価学会撲滅党党首)の活動は公職選挙法に定める選挙妨害に当たるのか?については、刑事裁判の中で争って行くことになりますけれど、この訴訟は、そのことではなく、
3人が5月17日に逮捕されて以来、勾留され続けており、約半年、未だに勾留され続けています。
黒川さんについては接見禁止の解除も認められておらず、外山さんは、黒川さんの妻であるが、接見禁止が未だ解けていない。
家族すら面会が認められていない。このような勾留の判断もそうですし、我々これまでに渡り2回の保釈請求をしていますけれども、いずれも却下されている。
保釈を却下するという判断が裁判所の判断なのか、更にはこれが憲法違反なのではないかということで国を被告として提起したのが国賠訴訟ということであります。
内容を詳しく言うと、よく人質司法という言葉を最近色んなところで聞かれることがあると思います。先日も※角川さんが司法について国賠訴訟をおこしたということがニュースになりましたけれども、罪を争っている人に対して(罪を)認めない限りなかなか釈放しないなど、こういう運用のことを『人質司法』という風に呼んでいました。
〜※東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約をめぐる汚職事件で逮捕、起訴された出版大手KADOKAWAの角川歴彦元会長(81歳)が、無罪主張を続けると長期間勾留される『人質司法』は憲法違反だなどと主張して、国に損害賠償を求める訴えを起こしている件〜
その原因はどういう物があるのかという件においては勾留の判断にせよ保釈の判断にせよ、刑事訴訟法(60条1項)に規定のある
「罪証隠滅の隠滅すると疑うにたりる相当な理由があるとき」
(証拠に対する不正な働きかけによって、終局的判断を誤らせたり捜査や公判を紛糾させたりするおそれがあるときという意味)
が肝なわけです。
あるいは、常習性(罪質を同じくする犯罪が一種の習癖として反復して行われたと認められる場合)とか。法令違憲、法律の要件そのものが憲法に違反しているのではないかと言うことを訴状の中で訴えていきます。」
〈なぜ人質司法のような事が蔓延っているのか?〉
「法律自体も憲法違反でないかと言っている、それのみならず裁判官が今ある法律を運用するわけですが『運用違憲』という言い方がありますけれど、今ある法律を憲法に適合するように運用すればこのような『人質司法』と呼ばれるような実態にはならないはずではないか。裁判官の運用自体が憲法に違反しているのではないか?
この訴訟においては黒川さん、根本さんの身体拘束を判断している裁判官の判断を対象にして、これが違憲違法ではないかとして国賠訴訟をしたというものです。
『人質司法』。ある意味この事件に限らず、あらゆる色々な事件で罪を争う人に対してずっと身体拘束し続けている。今回の事件で言うと政治活動を刑事事件として取り上げて身体拘束している。
黒川さんは『つばさの党』政治団体の代表であり、根本さんは党幹事長。彼らが半年間勾留されていることは彼ら自身の政治活動の機会を大きく妨げています。
今年の6月に東京都知事選挙に立候補しながらもこういう勾留自体が直接的な制限になっているという点もこの事件特有の問題。彼らがした行為が公職選挙法上犯罪なのかどうかという、これはこれで刑事裁判で正々堂々と争えばいい。
それをやるために身体拘束し続ける必要があるのか。これは今の司法、運用そのものを正面から争うという訴訟です。
刑事手続きの中で不服申し立て、これは私達もやっている。しかし手続きというのは公開の法廷で『対審構造』って呼ばれてますけど、国と当事者が一緒に出てきて主張を闘わすという構造になっていない。
この問題について国にも正面から自分達の主張を出させた上で裁判所に判断させる必要があるのではないかと言うこともあって国賠訴訟を提訴したということです。」
〈勾留中に第二子が生まれ、立ち会えず…〉
根本氏を弁護する宮村啓太弁護士は裁判所とのやり取りに憤りを隠しきれない。
「根本さんが2回目に逮捕されて勾留されている時刑事事件の弁護人になりました。
根本さんの勾留が明らかにおかしいと思えます。
根本さんの勾留の理由となっている一つは、罪状隠滅。もう一つは逃亡の恐れ。
根本さんには妻がいて、2歳の子供がいる。勾留中である根本さんの妻は妊娠中。そして勾留中に妻が出産した。
生まれた直後の子供がいて、妻は出産直後。どうやって逃亡するのか。どこに逃亡するんだ。逃亡するってことは相当な理由が考えられる。(他国に亡命とか)到底考えられない。
私は根本さんに対する勾留に対する準抗告、勾留の取り消し請求、その却下請求に対する準抗告、勾留の執行停止、保釈請求、保釈請求却下に対する準抗告、これらの刑事手続きを取っている中で非常に無力感を覚えた。何故か。何に反応したらいいのかわからない。取り得る法治手段全て使ったのにいずれも却下。
検察官は勾留請求するに当たって裁判所に提出する資料、私達はそれを閲覧することはできません。保釈請求意見書は閲覧することは出来ますが署名資料は閲覧することが出来ない。結局裁判官は何を見て何を認定したかが私達にはわからない中で形式ばかりの反論の機会だけが与えられる。これが実情。身体拘束という重大な処罰に当たって私達被疑者弁護人には『対審』的な反論の機会を与えられていない。これは重大な問題。」
〈黒川は都知事選に出るので逃亡する理由がありません!〉
黒川氏の公私共にパートナーであり、『つばさの党』代表代理の外山麻貴埼玉県朝霞市議会議員も
「3人の逮捕も再逮捕再逮捕で、勾留を長引かせるためにわざわざ分けて逮捕したとしか思えない。そもそも被疑者の段階でまだ刑が確定されたわけではない。推定無罪という原則があるわけでこれから裁判で結果を争うというのに余りにも勾留という形で半年も自由を奪われているわけで、しかも黒川は都知事選にも出ると言っていました。」
黒川氏は今年6月に始まった東京都知事選には獄中立候補という苦汁を飲む羽目になった。選挙運動が勾留により阻害されてしまった形だ。
外山氏は続ける。
「証拠隠滅の恐れ、と言われてもユーチューブに全部証拠として残っているんです。何も隠そうとしていない。私達その動画を消してもいませんし、ネット上にあります。証拠隠滅どころか私達自ら証拠、全世界に対して公開しています。証拠隠滅の恐れなんてないんですけど。」
と困惑気味に語り、
「逃亡の恐れ、も黒川は都知事選に出ようとしていたので、逃亡するつもりもありません。」
と断言した。
「根本には、出産を控えた奥さんもいて出産にも立ち会えない。しかも2歳の子供もいて一番手がかかる時期ですよ?奥さん大変ですよ?そういう時に逃亡する恐れなんて無いですよ。なのにも関わらず身柄を拘束し続けるのは人権侵害なんじゃないでしょうか。本当に警察と検察がちょっとしたさじ加減で、※例えば裏金議員は何十人もいて逮捕されたのはたった一人。しかもすぐに保釈されました。後は殆どが在宅起訴です。私達だって在宅起訴で良いじゃないですか?」
※逮捕された議員は、自民党の池田佳隆衆議院議員。彼は約4800万円を政治資金収支報告書に記載せず、裏金化していたとして2024年1月に逮捕。その後、保釈保証金1500万円を即日納付し、2月に保釈された。
〈都知事選、衆院選があったから?〉
「私達がやったことって、太鼓を叩いたり、選挙の現場行ってトラメガで大音量で(街宣カーを)流したとか、そんなことくらいですよ。殺人したわけでも盗みをしたわけでもない。そんなに重大な犯罪ですか?勿論やり過ぎた面はありましたし言葉遣いも悪かった。こういう行動が果たして選挙の現場で認められるのか、というのはこれから裁判で争われて行くんですけど、公職選挙法にも詳しくそこまで記載されていないんですね。都知事選、小池都知事のもとで大きな『帰れ』コールをやって小池知事は殆ど演説できませんでしたけどそれでも逮捕者は出ていません。どういう判断で勾留し続けているのか。明らかに都知事選や衆院選があったから(彼ら3名を)外に出さないためにずーっと勾留し続けたのかなと思わざるを得ないです。」
〈黒川氏だけが接見禁止を未だに解かれていない〉
「しかも保釈請求しても接見一部禁止。根本や杉田は接見一部解除が通り家族や友達が会いに行っているみたいですが黒川はそれも認められていないんです。」
〈今の司法に疑問〉
「なぜ60日以上も勾留しているか私達にはわかりませんし、こういう事が認めたくない罪を認めざるを得ない、早く外に出たいと言う思いから『冤罪』も生み出したり、自分の意に反した証言をしてしまうという原因になっているんじゃないかという風に、私にも思えます。家族として半年間も会えないというのは本当に辛いですし弁護士の先生に伝言を伝えてそれが伝わってくるのにも、本当に時間がかかります。手紙を(直接)渡すこともできません。そこまで遮断する意味があるのか?」
と自身の立場から強く問いかけ、
「裁判所は三権分立で、政治家の裏金問題や、小池都知事の学歴詐称なども罪に問われないのは、法律を作る国会議員らが罪を犯したり罪を犯している疑惑があったりするから。その場合余りにも甘くて、権力に対して異議を申し立てる側が声を大にして言ったりしたらこれだけ勾留されて、警察、検察の判断に対して三権分立の一つである裁判所の方々が、人質司法と言われる人権侵害をそのまま認めてしまっている。本来なら裁判所が警察と検察の決定を認めなければ起こらないですし、裁判所の方々が一番大事にしている憲法、基本的人権、これを侵害していることに当たるんじゃないか、こういう事が日本で未だに行われ続けているというのが本当に信じられない。」
と今の国家権力の矛盾点について指摘した。
〈人質司法、冤罪を生み出す制度に法令違憲〉
角川元会長の国賠訴訟や、袴田さん事件は「人質司法」と呼ばれる日本の刑事司法制度の問題点を浮き彫りにした。この昨今の出来事をきっかけとし、今後、強制自白や冤罪が再び起こらないよう、基本的人権に沿った正しい司法制度の見直しが早急に求められる今『つばさの党』の国賠訴訟によって法の扉がさらに奥へと動かされようとしている。
なお、つばさの党の刑事事件については11月20日に第一回公判が行われる予定だ。
☆参考サイト☆
「つばさの党」黒川代表らが国を提訴 保釈されないのは「憲法違反」
つばさの党・黒川代表らが国賠提訴「半年もの勾留は違憲」 妻の外山市議「裏金議員のほとんどは在宅起訴なのに」
つばさの党代表ら2人、国提訴 長期勾留は「人質司法」で憲法違反