【『陰謀論からの救出法』ウサギの穴にハマッた陰謀論者を救うには?鈴木エイト、ナカイサヤカ出版イベント】後編
この度面白い本を見つけた。陰謀論にハマった人を救う本があけび書房より出版された。
〜『陰謀論からの救出法』大切な人がうさぎの穴にハマったら ミック・ウェスト著 翻訳ナカイサヤカ〜
2024年9月14日、えれくしあ北千住にて、出版記念イベントが行われ、翻訳家ナカイサヤカ氏(57歳)と、ジャーナリスト鈴木エイト氏(56歳)を迎えたトークイベントの後編である。
鈴木エイト氏「自分もカルト問題に関わっているんですけど、陰謀論の広がり方って宗教カルトのように勧誘して信者を増やしていくんじゃなくて殆ど自己増殖していくんですね。ここ近年は陰謀論からも危機感を覚えて相談も受けている。実際に、これまでかかわるカルト問題とはちょっと違い、勧誘した人がいるっていうのじゃなくて、ユーチューブなどから広まっていくのが特徴なのかな、と。インフルエンサー的な人がいて、陰謀論が広がってくるにつれて、『反ワクチン運動』なども広がっていったり…『反ワクチン運動の真実』(地人書館)この本非常に良く出来た本でポール・オフィットの書をナカイさんが翻訳したもので、反ワクチンの考え方というのは使わないようにしているのだけど、反ワクチン運動が日本にもあてはまり、反ワクチン運動の部分にも重なる。」
ナカイサヤカ氏「ただ陰謀論が広がっていくにつれて、『反ワクチン運動』を取り込んでしまっているので(今は)昔の反ワクチン運動とはかなり違ってきている。」
ビル・ゲイツの発言を一部切り取って、彼は『人口削減』を望んでいると吹聴している人達がいる。これがコロナワクチン陰謀論に結びついて反コロナワクチン派が生まれた。
鈴木「右派を取り込んでかなり大きなムーブメントになってきていますね。私は信者ビジネスと呼んでいます。」
ナカイ「ミックも、陰謀論の人達は横断的に繋がったと書いているように、日本ではQアノンで色々な陰謀論を信じている人が横断的に繋がっていき彼らが共通して反政府の動きのために繋がって行った。」
鈴木「陰謀論の種類の中で最も大きい所、右派を取り込んでいる反WHO、これと繋がっちゃってる。製薬会社が医師会と手を組んでワクチンらを広げている側、そういう決めつけみたいですね。」
ナカイ「ワクチンを打たせる目的がビル・ゲイツの話から、反ワクチンに持って行きたい感じで」
鈴木「ビル・ゲイツの発言のごく一部を切り取って歪曲した話が伝わっていく。」
〈カルトは宗教のみならず〉
鈴木「他にも木の花ファミリーとか、エコビレッジ系のカルト的な団体があって。他にも色々な団体があるのでカルト団体は宗教だけと思われるのは違うんじゃないかな。」
鈴木「実際にコロナ禍において、クラブハウスってSNSありましたけど、今も色んな人が湧いて出てきて情報教材に繋げたりとか、かなり怪しい人が相当数出てきて…科学者ではなくて…調べると論文検索しても出てこなかったり、狭いSNSの世界で信用され一定の指示を得ている。詐欺師がかなり泳いでいた。あと、911ですね。あそこから陰謀論的なものがかなり広がったのかな?」
〈911を、境に陰謀論の様相が明らかに変化した〉
ナカイ「私も。様相がかわったと思えるのは911からで、それまでは陰謀論って個人が、『世の中の上の方の連中はみんな宇宙人になってる!この秘密を知ってしまった俺は監視されている!』みたいな、どちらかと言うと世の中の変わり者呼ばわりされるような陰謀論を信じている状況だったのが、911で社会運動になっちゃったんですよね。」
鈴木「衝撃的に誰もが知っていて心に傷を受けるような911を。」
ナカイ「911真相解明運動っていうものが起こった。ルース(求める=Roose、複数形ルーサー=Rooser)って言うんですけど、陰謀論者、ルーサーが集会をしたりデモをしたりすることは多分そこからじゃないかと。」
ナカイ「今年のSNSの書き込みに『飛行機は空気で飛んでいる』というのがあって、『そんな情報どこから来たの?』と調べたら、新しくはなく6,7年前にもう発生していて、ケモトレイルの所でエンジンの話が出てきて、燃料と空気を混ぜて爆発させたものを、後ろに押し出すことでジェット噴射していたわけですけれども、効率が悪いんで今のエンジンは飛行機の入り口のところに大きなプロペラが付いている。ターボで空気を吸い込んで押し出すようなプロペラ機に近い原理になっているわけです。
でそれを、生半可な知識で聞くと『航空燃料入らないじゃん、空気で飛ぶんだから』みたいな話になってそれがどうやら燃料は離陸の時と着陸の時しか使わない、と言われるようになって、で、なぜ911かっていうと、世界貿易センタービルに飛行機が突っ込んで火事になるわけなんですけど、『飛行機はそんなに燃料を積んで無かったので火事になるはずがない、だから爆弾を仕掛けて爆破したんだ』っていう…」
鈴木「世界貿易センタービル、ツインタワーの北と南が倒壊した後で、第7棟が倒壊したがそれが保険金目当てで倒壊させたんだろう?ていうようなことがまことしやかに、今だに言われていますが。北棟の崩壊のダメージによって7棟が崩壊したことが科学的に証明されているんですけどね。」
ナカイ「911の陰謀論関係の映画も沢山出て来ているので、その話から、『実は全部CGだったみたい』とか。そりゃ映画はCGです!」
鈴木「アポロ13号月面着陸も、スタジオで撮影されていたという陰謀論的なものが結び付くね。」
ナカイ「それをおちょくった映画観て来ましたけど(笑)あれも、アポロは月に行ってない、全部映画だったっていう、陰謀論が出てくる直前にヒットした『カプリコン・ワン』火星に行ったけど嘘だったっていう映画のせいだと。映画に凄い影響されていて、勿論『マトリックス』もめちゃめちゃ影響されてて」
鈴木「『マトリックス』はめちゃめちゃ影響大きいですね。」
ナカイ「『この世界は全部まやかし』あと、その、平面地球を信じている人の『月はホログラム』。月がホログラムを信じている人が、月が沈んでいくのをみて『キャー』とか『怖い』とか叫んでいる。(笑)」
鈴木「(陰謀論者を)嘲笑してはダメとか言われるけど僕とかは、荒唐無稽なことを言う人がいるとどうしても笑っちゃうこともある。集団ストーカーの人達もそうで、精神疾患、統合失調症でしかないと思うんですけど、その人にストレートに統合失調症ですよと言ってもそれは通じないし、(本当に)そうかもしれないし、何かしら近代的な特徴があるかもしれないし。決して笑いをもって接しないように気をつける。」
ナカイ「そう、相手が陰謀論者だったら、笑ってはいけない。難しいですね。また、とても(説得に)時間がかかるんで。その場でいきなり目が醒めるような事はない。」
反ワクチンでも陰謀論でもカルト宗教でも、自分の意に反するからと言って攻撃しては逆効果だ。とは鈴木エイト氏にも経験上で分かった部分があるという。
鈴木『何でこんなものに入っているんだ!勘当だ』というのはまずいやり方だな、って常々感じてましたね。元々カルトの場合、何の問題の無い家庭だったにもかかわらず、『あなた方は問題の多い家庭なのだ』と刷り込みをされるのが多いですね。また、元々問題のある上で(カルト宗教に)入ってきてるので、そこ、決めつけてしまわれているのかなっていう…」
ナカイ「陰謀論にハマりがちな人も実は別の健康問題があったりとか、心配でたまらないことがあったりとか、その話はしたくないから陰謀論にハマっちゃうんじゃないかと、それをうまく探ればいいんじゃないかと。」
鈴木「社会心理学、コミットメントの一貫性と言いまして、自分が選んだことはなかなか否定できない。それに費やした時間、お金等。そこでストップしても戻れない。それが難しいところですね。」
〈カルト対策問題は何故か葬り去られた〉
「オウム真理教の事件が起こった時、省庁連絡会議が出来て国の方でも、宗教、カルト問題に特化した人権侵害について取り扱うような組織を作るべきだという提言がされていたにも関わらず、公務書簡にしまい込まれちゃったっていうことです。そろそろ人の心を操るマインドコントロール、こういうものに取り組む対策を考える時期に来てるんじゃないか。なかなかそういう議論にならず総裁選とか立憲の代表選で全然そういう話がなかった。」
ナカイ「公明党みたいに、バックに創価学会があるから、っていうとわかりやすいんですけど、統一教会は数が2万くらい、たかが知れてると。」
鈴木「集票数8万〜10万くらいですかね、そんなに影響がないから、とその位で参議院選挙で1人当選させる、だから統一教会そんな力ないんだって思われている。」
「日弁連の方でもこうしたカルト機関に向き合って対応するような組織、運営管理機関を作るべきだと言う話が上がっているそうです。」
〈今後統一教会議員を一網打尽できるか!〉
鈴木エイト氏といえば、統一教会を追求するジャーナリスト。2022年9月に『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』密着の末、鈴木エイト砲による統一教会議員一覧表は168人。しかしこれらは正直に答えてくれた人が殆どで、裏で手を結んでいる議員が正直に答えるとは思えなかったが『近々、明らかになってきてスッキリすると思いますよ。』
●鈴木エイト氏
ジャーナリスト。ニュースサイト『やや日刊カルト新聞』主筆。
2002年頃、街中の手相占いと称する怪しい宗教への勧誘〜ここから、エイト氏が統一教会との問題を直視するようになる。
『現代ニッポンの大問題』メディア、カルト、人権、経済
著者・編者:阿部浩己、鈴木エイト、東郷賢、永田浩三(著/文) あけび書房 定価1760円
●ナカイサヤカ氏(翻訳家/代表作 世界恐怖図鑑/文渓堂
『反ワクチン運動の真実 死に至る選択』ポール・オフィット著
近作『イラストで見るゴーストの歴史』マール社などがある。
主に児童図書を翻訳していたが娘さんに、「お母さん、どんどん怪しい本の翻訳するね」と言われているナカイサヤカ氏。「反ワクチンを巡る海外と日本の状況は驚くくらい一緒、登場人物もよく似ている」一番最初に翻訳をしたのが超能力研究。
『世界恐怖図鑑』は子供が読み始めたら夜眠れなくなるような内容。
反ワクチン関連も翻訳している。