立民代表選:合同演説会日程を終え、4氏は最終盤の闘いへ!4氏の政見検証(上)~立候補の決意、野党連携のあり方、政治改革~
- 2024.9.19
- 国内・政治平木雅美選挙アナリスト記事
9月7日告示された立憲民主党の代表選挙は、18日、党主催の最後の街頭演説会と政策討論会が行われました。
4人の候補者は、23日の臨時党大会での投開票に向け、最終盤の活動を強化していきます。
主な政策についての4氏の政見を整理しました。
上編は、代表選立候補決意、野党連携のあり方、政治改革の具体策です。【届出順】
【参考資料:4氏の政見、発言比較票】
■立候補の決意
●野田佳彦・元首相
野田氏は、8月29日、「立憲民主党の代表選挙にチャレンジし、再び内閣総理大臣を目指す決意を固めた」と述べました。
そのうえで「次の政権をかけた衆議院選挙に勝ち抜いていくためにどうしたらいいか真剣に考えてきた。刷新感ももちろん必要だが、一定の経験値に基づく安定感で問題を解決し、国家を背負う覚悟と力量が問われる」と指摘しました
さらに、「大目標は、自民党を単独過半数割れに追い込むことだ。立憲民主党だけで届かない可能性は十分あり、野党連携が必要でほかの野党と対話できる状況は持っていなければならない」と述べました。
●枝野幸男・前代表
枝野氏は、8月21日、記者会見し「歴史的な円安と物価高は国民生活に大きな打撃を与えている。経済も大きく混乱しているにもかかわらず、政治不信が高まり、歴史的な変化に対応できていない」と指摘しました。
その上で「人口減少が進む中、アベノミクスのあとの日本経済をどう立て直すのか、与野党を超えて問われている。今こそ『失われた30年』と呼ばれる長期の低迷をつくりだした古い政治に終止符を打ち、新しい時代へと向かって進む時だ」と述べました。
●泉健太・代表
泉氏は、9月6日、「自民党の『裏金問題』で国民が不満や怒りを感じており、立憲民主党こそ役割を果たさなければならない。『裏金問題』は明確なルール違反で、イエローカードやレッドカードを出して退場させないといけない」と述べました。
その上で「次の衆議院選挙でわれわれは政権交代を目指し、私はその先頭に立つ。おかしな政治を一度退場させ、立憲民主党が政権を担わせてもらいたい」と決意を示しました。
党のあり方について「ひとりのリーダーや実績のみに頼るのではなく、みんなで力を合わせて全国に訴える姿勢が何より重要だ。代表選挙で大きな相手である前代表や元総理大臣と戦うことになる。前向きにこの国の未来を語り、政権交代に向けての訴えとしたい」と述べました。
●吉田晴美・衆議院議員
吉田氏は、告示日の9月7日午前、「告示ギリギリのタイミングになったが、立候補を模索していた江田憲司衆議院議員との一本化で、立憲民主党が自由かったつで、多様性に満ちた意見を尊重していることを明らかにできた。自民党では、あり得ないと思うが、1期生が代表選挙のステージに立たせてもらう」と述べました。
吉田氏は「私がつくりたい政治の形は、これまでの政治の慣習にとらわれない、等身大の政治だ。これまでの代表選挙の常識も変えていきたい。教育と経済を掛け合わせることこそが国民生活の底上げになるという好循環を訴えていく」と述べました。
■衆議院選挙に向けた野党連携のあり方について
●野田佳彦・元首相
野田氏は、「野党の議席の最大化こそ自公政権を過半数割れに追い込むことになり、対話の中で政権を一緒に担う野党も出てくる。いちばん近いところにいる国民民主党は代表選挙が終わったら協議しなければならない。日本維新の会とも一致できるか探っていきたい」
と述べています。
●枝野幸男・前代表
枝野氏は、「『裏金議員』を倒すという最大の課題は、他党にも理解してもらえると思う。
国民民主党は働く人のための政治という共通の基盤に立っているので不断の努力で連携を深めたい。その他の政党との一致点は自民党の議席を最少化するということで、民主主義
のために必要だ」と述べています。
●泉健太・代表
泉氏は、「各野党に対し、自民党を倒すための最大限の協力を呼びかけたい。ただ、こちらの理想ばかり言うのではなく、それぞれの政党に戦略があって議席を伸ばしたい思いもあるので、手を結ぶところでしっかり結んで、丁寧にやっていきたい」と述べています。
●吉田晴美・衆議院議員
吉田氏は、「来月早々にも衆議院の解散があるのではないかと言われている中で、選挙区のすみ分けの議論を始めるべきだ。候補者を擁立していく姿勢を堅持しながら、野党の候補者の一本化に向けて全力を尽くすべきだ」と述べています。
■政治改革の具体策について
●野田佳彦・元首相
野田氏は、「『裏金事件』は脱税であり、何もけじめがついていない。世襲議員も多すぎて、民主主義の国家と言えるのか。弊害が多いと思っている。被選挙権年齢を引き下げ、女性のチャンスを拡大し、世襲を制限することで有為な人材にチャンスをつくる被選挙権改革をしたい」と述べています。
●枝野幸男・前代表
枝野氏は、「我々が通常国会で『こんなのはざるだ、だめだ』と言っていたものを自民党が総裁選挙で、急に言うのは眉に唾を付けて受け止めなければいけない。また、世襲議員が多すぎる。政治家が亡くなったり引退したりすれば、政治資金は国庫に戻してもらうというのが本来の姿だ」と述べています。
●泉健太・代表
泉氏は、「自民党本部の中ではいまも政策活動費や裏金が動いているのに、総裁選挙の時
だけ改革を言うのは、あまりに不誠実だ。旧文通費の公開についてはいま、基準も使途もバラバラで白黒つけられないので、共通のルールづくりを急ぐべきだ」と述べています。
●吉田晴美・衆議院議員
吉田氏は、「『政治家だけがこんなにいい思いをしているのか』という国民感情があり、次の衆議院選挙では、しっかりみそぎをしてもらいたい。民間企業は会計を公開し監査を受けており、同じレベルで政治をやればパーティー券や政治活動費(※発言ママ)の問題
はすべて解決できる」と述べています。
今後の日程
代表選挙をめぐっては、地方議員や党員・サポーターによる郵便投票が、20日、インターネット投票は22日の午後5時で締め切られます。
4人の陣営は、今後、それぞれ活動し、支持拡大に全力を挙げることにしています。
以 上
筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト
元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区
制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事
件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。
その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。
政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。
☆出稿資料☆
240919出稿資料① 立民代表選:4氏主な政見比較票 240919出稿資料② 立民代表選:4氏主な政見比較票 (1)