東京都知事選 小池知事3選 石丸氏が2位 蓮舫氏は「2位にもなれず3位に沈む」
- 2024.7.9
- 国内・政治
東京都知事選挙は、7月7日投票が行われ即日開票されました。小池百合子知事が291万票余を獲得し3回目の当選を果たしました。
【参考資料:各候補者の得票数と率の選挙結果】
NHKなどの報道機関で当選確実が報じられた直後、支持者が待つ会場に姿を現した小池氏は、「8年間の実績を評価していただいた。これまでもチルドレンファーストの政策を進めてきたが『018サポート』、高校授業料の無償化、子育てと教育にお金や負担がかからない東京を目指していく。第2子までの保育料無償化をさらに広げ、第1子からという設計を進めていきたい」と述べました。
さらに、今回の選挙戦について質問されると「何度も選挙を経験したがこれまでなかったような選挙戦だった。ポスターの掲示、脅迫、街頭ではやじの大合唱があったり、これまで経験したことがないような選挙戦だった」と振り返り、「国会で法改正の動きがあれば、当事者として意見を述べたい」と語りました。
石丸伸二氏は「今回、私のチームは本当に全力を尽くせたと思う。その点において胸を張って出来ることは全部やったと言い切れる。本当にありがとうございました」と集まった支持者に感謝を述べました。
今後の政治活動について報道陣から聞かれると、「まだ決めていない」と述べ、その上で国政選挙への考えについて聞かれると、「選択肢としては当然考えます。たとえば衆議院広島1区。岸田首相の選挙区です」と述べました。
斎藤蓮舫氏は、敗因について記者から質問されると、「循環型の東京を作りたいという思いは全力で訴えたつもりだが、結果として届かなかったのは私の力不足で申し訳ない」と述べました。また、次の衆議院選挙に立候補する考えがあるか、記者から質問されたのに対して「私に何が足りないのかは少し考える時間を下さい」
~報道機関が実施した開票所での投票を済ませた方「誰に投票したのか」を伺う「出口調査」からみえてくるもの~
当選した小池知事をはじめ石丸氏、蓮舫氏の3人について、投開票日の7日、各報道機関が行った出口調査の数値を整理していきます。
【支持政党別の投票先】
まず、それぞれの政党を支持している人たちが、3人の候補者のうち、「誰に投票をした」のかその割合を候補者毎に見ていきます。
小池氏に投票した各政党の支持層の割合です。
NHK調査では、自民支持層の60%台半ば、公明支持層の80%余、日本維新の会支持層の40%台半ば、都民ファーストの会支持層の90%余、「特に支持している政党はない」といういわゆる無党派層の30%余の人たちが「小池氏に投票した」と答えました。
同様に、朝日新聞調査では、自民67%、公明81%、維新32%、立民14%、共産12%、無党派32%が投票したと回答しています。
讀賣新聞調査では、自民67%、公明77%、立民19%。共産10%、無党派31%です。
共同通信調査では、自民67% 公明80.8% 維新31.9% 国民28.6% 立民13.8% 共産12.2% 無党派30.6%となっています。
石丸氏に投票した各政党の支持層の割合です。
NHK調査では、自民10%台後半、維新20%台半ば、国民民主約40%、無党派30%余です。
朝日調査では、自民19%、公明10%、立民11%、維新41%、共産10%、無党派36%となっています。
讀賣調査では、自民20%、立民18%、無党派36%です。
共同調査では、自民18.6% 公明9.6% 維新41.0% 国民38.5% 立民10.7% 共産10.4%、無党派38.0%でした。
蓮舫氏に投票した各政党の支持層の割合です。
NHK調査では、立民60%台後半、共産60%台後半、れいわ新選組約30%、無党派約20%でした。
朝日調査では、自民5%、公明5%、立民72%、維新14%、共産69%、無党派16%
讀賣調査では、立民59%、共産71%、無党派17%でした。
共同調査では、自民4.8%、公明5.5%、維新13.9%、国民11.0%、立民72.1%、共産69.4%、無党派16.6%でした。
【年代別の投票先】
各年代別に投票した候補者を見ていきます。
NHK調査では、10代と20代の40%余が石丸氏、20%台後半が小池氏に投票しています。
30代は、石丸氏と小池氏にそれぞれ約30%が投票しています。
40代は、30%台半ばが小池氏、30%余が石丸氏に投票しています。
50代では、40%余が小池氏、20%台半ばが石丸氏に投票しています。
60代では、約40%が小池氏、20%台後半が蓮舫氏、約20%が石丸氏に投票しています。
70歳以上は、約50%が小池氏、約30%が蓮舫氏に投票しています。
讀賣調査では、18・19歳、20~30歳代の若い世代では、いずれも石丸氏がトップでした。一方、40~70歳代、80歳以上では、小池氏を選んだ有権者が最も多くなりました。。
共同調査では、18~29歳の41%が石丸氏に投票。小池氏は40代以上の年代で、いずれも最多でした。
【男女別の投票先】
男女別の投票先は、NHK調査で、男性の30%台半ばが小池氏、20%台後半が石丸氏、約20%が蓮舫氏に投票しています。女性は、40%台後半が小池氏、20%余が蓮舫氏に投票しています。
讀賣調査では、男性の投票先は、小池氏34%、石丸氏33%とほぼ同数で、蓮舫氏は18%でした。女性は小池氏が44%と高く、蓮舫氏22%、石丸氏21%とほぼ同数となりました。
共同調査では、小池氏は女性からの投票が46%と、蓮舫氏の20%を大きく上回りました。男性の投票先は小池氏が32%、石丸氏が33%と拮抗しました。
編集部では、都知事選の選挙結果やこうした調査を踏まえ、今後もより多角的に有権者の投票動向を分析し、衆議院選挙や来年行われる東京都議会議員選挙、参議院選挙の行方を占っていきたいと思います。
【参考:各報道機関の出口調査】
NHK:64投票所・有権者5646人を対象に行い、62.4%にあたる3522人から回答
朝日新聞:120箇所・有効回答5357人
讀賣新聞:240投票所で実施し、有権者6891人から回答
共同通信:120箇所・有効回答5357人
以上
筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト
元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。
その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。
政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。