【「妻の遺族年金貰えない」遺族補償年金の性差別訴訟 国は争う構え】
- 2024.6.18
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東京在住の54歳男性が、労働災害で亡くなった妻(当時51歳)に関する遺族補償年金の支給規定について2024年6月13日 国を相手取り訴訟を起こしました。現行法では、遺族が女性の場合には、年齢制限なく年金が支給されるのに対し、男性遺族は54歳以下でなければ受給資格がないとされています。この男性は、このような規定が性別に基づく不平等であり、憲法違反であると主張しています。
遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。 いずれも主たる生計維持者の被保険者らが死亡した場合、遺族の生活保障を目的に支給されます。 現行制度では現役世代において遺族厚生年金の受給要件に男女差があります。 男性は妻の死亡時に55歳以上でなければ受け取れず、支給は原則60歳からとなります。 女性は夫の死亡時に30歳以上であれば、子どもの有無にかかわらず受給できるとされています。
2019年6月に団体職員だった妻が、くも膜下出血し、過労死で亡くなりました。妻を失ったこの男性は、23年に遺族年金を申請したが、八王子労働基準監督署長は当時49歳だった男性には受給資格がないとして却下されました。彼は、妻が家計を支える主要な収入源であったため、その死後、経済的に困窮していると述べています。
13日に開かれた東京地方裁判所での裁判では、原告の男性が自らの立場を述べました。男性側は、「法律は古い時代の性別役割分担の考え方に基づいており、現代社会にはそぐわない。仮に死亡したのが夫だった場合、妻は遺族年金を受給できた」と主張し、夫のみに年齢制限を設けた同法の規定は差別的取り扱いで違憲、無効などと訴えました。
記者会見した男性は「女性の社会進出が増える中、同じ労災であって家族の大変さもある。平等に扱ってほしい」と話していました。
一方で、国はこの訴えに対して争う姿勢を見せており、具体的な反論については後日明らかにするとしています。
この訴訟は、性別に基づく差別と法の平等性に関する重要な議論を提起しています。今後年金における男女差を無くしていくには一家の稼ぎ頭が男性であるという概念を捨てること、女性の職場での評価を上げて、給与を増やすことなども今後の指標とされています。
参考サイト:
遺族年金「男女差は違憲」 妻死亡の男性が提訴―東京地裁
遺族年金「男女差は違憲」 妻死亡の男性、地裁に提訴